血小板とは?
このサイトでも何度かご紹介していますが
ダニに刺されたことが原因で、
「重症熱性血小板減少症候群」
という感染症を発症することがあります。
その名の通り、「血小板」が減少する病気なのですが、
「そもそも血小板ってどんな働きをするものなの?」
という疑問をお持ちの方も多いことでしょう。
血小板は、私たちの血液成分の一つです。
サイズは直径2μm〜4μmで、薄い円盤のような形状。
血液を作る「骨髄」で生成された巨核球という細胞が
分裂する時に生じるもので、
“核”を持っていないのが特徴的です。
簡単に言うと、ケガをした時に傷口を塞いでくれる成分で
専門的には「血液凝固因子」の一つです。
どのようにして傷口を回復させてくれるのか・・・
ご参考までに、以下にまとめてみました。
@ 血管に傷がつくと、傷口に血小板が集まってくる。
↓
A 血小板からADPという物質が放出される。
↓
B 他の血小板も凝集し、血管壁に含まれるコラーゲンを増やす。
↓
C Bによって血管壁の粘着性が増し、層状になって血栓ができる。
↓
D 破れた血管が塞がる。
↓
E さらに、血小板から放出する血液凝固因子が
血液中のフィブリノーゲン(タンパク質)を繊維状のフィブリンに変化させ、
これによって赤血球が固まって血管の破れが完全にふさがれる。
↓
F 最終的には血液中のプラスミンがフィブリンを溶かして血栓を除去する。
当然、この血小板が減少してしまうと
血を固める機能が弱くなって出血しやすくなります。
通常は、血液1μl(マイクロリットル)の中に
20〜35万個の血小板が含まれていると言われていますが、
5万個を下回ると鼻血や皮下出血が起こりやすくなり、
3万個以下になると脳内出血のリスクも高まります。
こうして血小板の働きをおさらいしてみると、
「ダニに刺されることで重症熱性血小板減少症候群を発症する」
ということの危険性もよく理解できるのではないでしょうか。
ダニに刺されて血小板が減少?メカニズムと症状
重症熱性血小板減少症候群は、日本国内では
2013年に初めて患者が確認されました。
ともすれば
「(患者数が多い)中国からウィルスを持ち込まれたのではないか」
と思われがちですが、最初の患者さんには
中国への渡航歴はなかったそうですし、
ウィルスの遺伝子のタイプも
中国で検出されるものとは違っていたのだとか。
つまり、日本にも元々SFTSウィルスが存在していた
ということですよね。
「SFTSウィルスを保有しているマダニに咬まれると感染する」
と言われていますが、このマダニにも種類があります。
主には、フタトゲチマダニやオウシマダニから
ウィルスが見つかることが多いのだとか。
ただ、日本国内に限定して言えば
ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ
といった種類のマダニからもウィルスの遺伝子が検出されているそうです。
ただし、これらのダニの全てがSFTSウィルスを持っているわけではなく、
「全体の数%にウィルスの遺伝子が確認された」
という程度。
ですから、ダニに刺されて重症熱性血小板減少症候群にかかってしまうというのは
ある意味ではレアなケースというわけです。
ダニがこのウィルスをどこからもらってくるのか、
日本に生息するマダニのウィルス保有率は?・・・等、
詳細についてはまだ研究段階にあるようです。
「あれ、おかしいな」と感じたら・・・
重症熱性血小板減少症候群の予防策は一つ。
マダニに咬まれないようにすることです。
とはいえマダニは袖や首元、ズボンの裾など
ちょっとした隙間から衣類の中に入り込みます。
ですから、服装をそれだけ気を付けていても
完全には身を守ることはできないかもしれません。
そこでオススメなのが、DEETという成分を含む虫よけ剤。
虫の感覚を麻痺させることによって、
私たち人間が出すCO2や体温を
感知できない状態にさせる効果があるのです。
DEETが含まれている虫よけ剤としては、
池田模範堂の「ムヒの虫よけ ムシペールPS」が使いやすい
&手に入りやすいのではないかと思いますよ。
DEETの濃度が12%ということで、効き目や持続力もバッチリです!
それでも、マダニに咬まれてしまうことはあります。
心あたりのある出来事(草むらを歩いた、山へ行った等)の後、
6日〜2週間程度の間に原因不明の発熱や食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛
などがあった場合は、すぐに受診しましょう。
放っておくと、意識障害やけいれん、昏睡、呼吸不全、出血など
命に関わる症状が出てくることがあります。
この時、血小板は10万/μlまで減少していることもあるのだとか。
その他、同じく血液成分である白血球の減少、
血清電解質の減少(Na、Ca等)、
血清酵素の上昇(AST、ALT、LDH、CK等)・・・と、
体内には様々な異常が生じています。
すこしでも、「あれ?なんかおかしいな」と気づいたら、
その時点で皮膚科や内科に相談しておくと安心ですね。
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