その発熱、ダニが原因かも?
風邪を引いたわけでもないのに、急な発熱。
それも、ちょっとした微熱程度ではなく、
38度、39度の高熱・・・。
私は一体、どうしちゃったの!?
そのような場合は、虫に刺された可能性を疑ってみましょう。
数日〜2週間で山や川、海に出かけたことはありませんでしたか?
もしかしたら野外でダニに刺されてしまったのかもしれません。
ダニの中にはウィルスを持っている個体もあり、
刺されることが原因で感染症にかかってしまうことがあります。
例えば、ツツガムシが媒介する「つつが虫病」。
リケッチアを病原体とする感染症で、
発熱や発疹、全身倦怠感が主な症状。
39℃〜40℃の高熱が出ます。
また、マダニが媒介する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」、
「日本紅斑熱」、「ライム病気」も発熱があります。
いずれも、重症化する
と命に関わるような危険な状態になることもあります。
発熱は「単なる風邪」と見過ごされてしまうこともありますが、
「これはおかしい」と感じたらすぐに病院へ!
意外と知らない!発熱のメカニズム
ところで、なぜダニに刺されると発熱するのでしょうか。
そもそも、発熱はどのようなメカニズムで起こるのか?
「熱が出る」というのは、
ともすればマイナスに捉えられがちですが、
私たちの身体にはどのような影響があるのでしょうか。
まず、発熱の引き金について考えてみましょう。
風邪にしてもダニ刺されにしても、私たちの身体の中に
ウィルスや細菌が侵入することがきっかけで熱が出ます。
それはなぜか?
簡単に言うと、彼らは私たちを攻撃する生き物だからです。
つまり、発熱は決して悪い現象ではなく、
私たちが自分自身を守るために必要不可欠な反応だということです。
ここからは、発熱のプロセスを見ていきましょう。
@ ウィルスを取り込む
ウィルスや細菌などの異物が侵入すると、
体内の免疫活性食細胞(白血球、マクロファージ)がこれを取り込みます。
その様子が、まるで「ウィルスを食べているように」見えたことから
「食細胞」と呼ばれているわけです。
A サイトカインを作る
免疫活性食細胞によって、サイトカインというタンパク質が作られます。
これは、細胞同士の情報伝達の役割を担うもの。
細胞間コミュニケーションのツールで、
身体の中で起こる様々な免疫反応を調節しています。
サイトカインには多くの種類があり、例えば
インターロイキン、インターフェロン、細胞傷害因子(TNF)、造血因子、
マクロファージ炎症蛋白などがあります。
これらの物質は「内因性発熱物質」とも呼ばれ、
発熱のプロセスに深く関与しています。
B サイトカインが脳に到達
Aでご紹介したサイトカインは、血流に乗って脳まで運ばれます。
しかし、「血液脳関門」で排除されてしまうため、
「プロスタグランジンE2(PGE2)」という生理活性物質を作り、
これを脳の「視床下部」という部分に届けます。
C 視床下部の指令によって発熱!
脳の視床下部は、体温調整中枢の役割を担っています。
PGE2から情報をもらった視床下部は、身体の各所に
「発熱せよ!」
と発熱指令を発動。
これによって筋肉がふるえ、熱の生産を促します。
なぜ発熱するの?目的は?
ウィルスや細菌は、低温の環境を好むため、
逆に温度を上げると繁殖しにくいという性質を持っています。
つまり、発熱することによって体内で彼らが増殖するのを
ブロックしているということなんですね。
また、身体に侵入した最近を迎え撃つ白血球の働きは
発熱によって活性化するという性質がありますから、
結果的に「外敵と戦うための免疫機能がUPする」
ということになるわけです。
ウィルスを持ったダニに刺された時に発熱するのは、
身体がこのウィルスを「排除しよう!」としているから。
言い換えれば、
身体の防御機能がしっかり働いている証拠なのです。
発熱すると、確かに身体はつらいですよね。
ですから、「早めに解熱剤を飲んで熱を下げなければ」と思われがちですが、
このように「必要だから」発熱しているわけです。
ですから現在では、医療現場でも
「むしろ解熱剤は使わないほうが良い」
という考え方が主流になっているようです。
とはいえ、謎の高熱が続いているのは正常な状態ではありません。
外敵どころか自分自身の内臓の働きに
悪影響をきたすこともありますので、
素人判断せずに早めの受診をオススメします。
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